HGUC EMS-10

HGUC 1/144 ヅダ

Kit Review

素組み + スミ入れ + シール

MS IGLOOは2004年から始まったフル3Dアニメシリーズです。内容はジオン軍の視点から、一年戦争で知られていなかった(というより後から新たに作った話ですが;;)秘話を描いており、603技術試験隊を中心としたジオン軍の秘密兵器の実験にまつわるエピソードです。MS IGLOOの各話にはジオンが実用化しようとしていたさまざまな兵器が新たに登場しますが、もちろんどれも作戦失敗に終わるものばかりです。失敗しなかったなら本編に登場していたはずですから、当然といえば当然ですが..ふむふむ。

3Dアニメとしては正直それほどハイクオリティとは言いがたいですが..テーマがまさに「ジオン」であり、ザク・サラミス・ムサイ・ズゴック・ジム・ボールといったオールドファンにはおなじみのメカが3Dで活躍するというだけで、十分に胸が熱くなります。

監督は0083の今西隆志。メカニック監修は我らが角先生(カトキハジメ)と出渕裕(パトレイバー、0080..)が担当し、実際のメカニックデザインは山根公利(08小隊)、荒牧伸志(モスピーダ、ガサラキ)、藤岡建機(A.O.Z)らが手がけており、かなり豪華なスタッフ陣です。特に監督の影響なのか、どことなく0083的な雰囲気が漂っています。各話ごとに新しいメカニックが登場し、登場人物は共通しながらも話ごとに内容が完結するオムニバス形式。

ガンダムシリーズが20年をはるかに超えて人気を保ち続けている理由のひとつは、リアリティではないかと思います。単純な善悪の対立構図ではなく、利害関係とヘゲモニー争いによる戦争..それぞれの大義名分..その中に生まれるさまざまな英雄たちと人間模様を描いているからこそだと感じます。MS IGLOOはそうしたガンダムの「リアリティ」を極限まで高めた作品で、各話に悲壮感あふれるリアリズムの展開を見せてくれます。大義名分による戦争、腐敗した上層部の問題、冷酷な戦争の現実を描く、まるで宇宙版「プライベート・ライアン」あるいは「バンド・オブ・ブラザーズ」と言ったら言い過ぎでしょうか?^^;

いずれにせよ、あからさまに一年戦争ガチ勢のおじさんたちを狙い撃ちにしたような作品ですが、オールドファンにはしっかりと刺さる作品であることは間違いありません。第1話で一瞬登場するシャア..一言も喋らず、赤いザクのモノアイでモールス信号を打って飛び去るだけですが、その瞬間のシャアの登場に圧倒感と戦慄を覚えた方なら、あなたは間違いなく一年戦争ガチ勢のオールドファンです..^^;

オールドファンでなくとも、軍人魂あふれる悲壮感、息をのむ展開とそれなりに迫力あるグラフィックなど、十分に楽しめる内容です。まさか、まだこの面白い3Dアニメをご覧になっていないなんてことはないですよね?;;

見ていなかったことを後悔する前に、さっさと入手して観てください。男の胸に響きます。
各話が短くてテンポよく観られるのも嬉しいところです^^;

参考リンク > MS IGLOO公式サイト (もちろん日本語)

※ EMS-10 Zudah(ヅダ)

発音的には「ヅダ」が正しいのですが、なんとなく日本語の「ズダ」とも聞こえて少し紛らわしい名前です。そのためか「ズダ」と呼ばれることも多いのですが、このレビューでは標準に近い「ヅダ」で統一して表記します。

一年戦争当時、ジオン軍には2つのメカニックメーカーが激しく競い合っていました。「ジオニック」社と「ツィマッド」社です。一年戦争が勃発する数年前、連邦軍とジオン軍の対立が激化するにつれて軍拡競争が激しくなり、ジオン軍の標準量産機選定においてツィマッド社のヅダとジオニック社のザクが競合しました。ヅダは高出力推進時に機体欠陥により空中分解するという事故が起き、ザクとの競争に敗れ、結局一年戦争を通じてジオニック社のザク/グフ/ゲルググがジオンの主力MSとなりました。これは単純にヅダの欠陥だけが原因ではなく、ジオニック社のロビー活動による結果とも言われていますが..いずれにせよヅダは競争に敗れ、開発計画は廃棄されます。もともとMS-04と呼ばれていたヅダは、MS-05ザクIに敗れた後、改称されたEMS-10という型式番号に変更されます。

MS IGLOO第3話「軌道上に幻影は奔る」(タイトルはどれも詩的です)は、まさにこの「ヅダ」の物語です。オデッサで窮地に追い込まれたジオン軍は、すでに廃棄されようとしていた(なんとなく町の小さなお店の名前みたいでちょっと垢抜けない)ツィマッド社のヅダを復活させ、新たに改良したかのように喧伝します。ちょうどこの時期、最後に残ったヅダの活躍を描いたのが第3話の内容で、やはり最後は悲壮感あふれる悲劇で幕を閉じます。

正直、ヅダのデザインはかなり見慣れない印象で、どちらかというと好みじゃないと感じる方もいるかもしれませんが…MS IGLOOをご覧になった方は、必ずしもそうは思わないかも。それでも慣れないデザインであることは確かです。個人的には何となくスター・ウォーズに出てくる兵士っぽい雰囲気を感じたりもして…。いずれにせよ、不運の主人公ではありますが、ガンダムシリーズのアニメの一エピソードの主役ということで、こうしてHGUCのラインナップにも加わることになったんですね。:-)

そして…もしかするとヅダがザクIに敗れて落選した理由は、アニメで作画するには複雑すぎるデザインだったからという説も…
(信じたら骨折り損ですよ?^^;)

※ レビュー開始

では、本格的なキットレビューのスタートです^^;

まず、HGUCラインナップへのヅダの登場は、かなりのサプライズでした。MS IGLOOに登場した機体はバンダイミュージアム販売限定品として ザクII イグルー版, ザクII イグルー版(セモベンテ仕様) がありましたが…ご覧のとおり、成形色を変えてシールを追加しただけの完全な使い回しキットでした。むしろEX系列でサラミス/マゼラン、ムサイなどがイグルー版として完全リファインされてリリースされましたね。(1/400のガンキャノン・ムサイもイグルー版ですよ~)

バンダイの主力量産ラインナップであるHGUCに、MS IGLOO外伝のオリジナル機体が登場したというのは、A.O.Z(アドバンスド・オブ・ゼータ)のヘイズル・シリーズがHGUC化されたのと同じ流れだと思います。HGUCがもはや古典的な宇宙世紀アニメの機体にとどまらず、宇宙世紀に該当さえすれば(どうせUCという名前をつけてしまった以上、外れるのも難しいですが;)何でもキット化できるという意志の表れに見えます。(もちろん売れそうな機体という前提で)いずれにせよ、バリエーションでも改修版でもない、完全オリジナルデザインのHGUC「ヅダ」の登場は、いろいろな意味で嬉しいニュースです。

このキットが驚きなのは、単に外伝のオリジナル機体をキット化したという事実よりも、ちょっと面食らうほどクオリティが高く仕上がっているという点です。あらゆる面でかなり力を入れたキットだということがひしひしと伝わってきます。

全体的に「ちょうどいい」と言えるほどの関節強度、たいていのポーズが自然に再現できる可動域、HGUCらしからぬMG以上に細かいモールド、充実した武装の設定再現、おまけにカッコいい135mm対艦ライフルまでボーナスとして…モノアイの可動はMGと似た方式を採用しており、バーニアとシュツルム・ファウストのオレンジ色の成形色はパールが混ざっていて光沢もあります。最近のHGUCの標準オプションであるアクションベース接続穴も設けられており、アッシマー/ガブスレイのスタンドとの互換も可能。

一言で言えば、HGUC ヅダはどんどん進化して底が見えないHGUCクオリティの極致を見せてくれています。まったく文句のつけようがなく、もしMGだったらボールやアッガイに続いて100点をつけていたであろうキット。完成度の面でも、同じ外伝機体であるヘイズルを上回っています。

元のデザインがジオンらしくなく非常に複雑で独特なのですが、そのうち白いスミ入れが必要な部分はすべてマイナスモールドでパネルラインが作られています。つまり「勝手にスミ入れしてね」ということですね。個人的には、シールで対応するよりずっといいと思います。上のレビューのキットは、白いエナメル塗料を筆でざっと流し込み、ティッシュにシンナーを染み込ませて拭き取るという昔ながらのスミ入れ方法でホワイトスミ入れを施しました。やったことがない方は少し抵抗があるかもしれませんが、実際にやってみると初心者でも誰でも簡単にできるシンプルなスミ入れ方法です。

その他のスミ入れポイントは少し複雑な程度…ですが、問題はシール。
以前のザクII イグルー限定版でもかなり多くのシール貼りで勝負していましたが、本格的なHGUCラインナップのヅダはそれよりはるかに多いです。シールを貼る箇所が非常に多い上に、1/144なのでサイズも小さく、各シールの四隅をカッターで切り落とさないと貼り付け面積をはみ出してしまい、貼るのも一苦労です。だいたいMGでVer.Kaのシール貼りを経験された方なら、それと同じかやや多いくらいと思っていただければ。それでも欠点というよりは(手間のかかる)サービスと捉えるべきでしょう。

もちろん「そんなシールは貼らなくていい」という方は関係ありませんが、MS IGLOO 3DCGアニメでもすでにシールをすべて貼った状態で登場するヅダなので(実際に比べてみると、アニメの機体ラベルのデザインとこのキットに付属するシールがほぼ同一です)、貼る・貼らないの見た目の差はかなり大きいです。

結論として、見慣れないデザインへの抵抗さえなければ…キットの品質そのものは完璧なキットです。違った手応えを味わいたいけどヅダのデザインはやっぱりちょっと…という方は、MS IGLOO第3話をご覧ください。ヅダの壮絶な最期を見て、気づいたら購入ボタンを押しているかもしれません…^^; キャラクターの力とはまさにこういうものですね!

付け加えて…面白い事実をひとつ。完全新製品「ヅダ」が、完全新金型「ザクI」のすぐ後にリリースされたという点です。まるで実際の一年戦争当時のツィマッド社とジオニック社の競争構図を再現するかのように並んでリリースされたのは、明らかに何らかの意図があるようで。それを証明するかのように、ボックスアートの裏面の広告プリントもザクIとヅダの競争構図で編集されていましたね。(ボックスアート裏面を見る
さらに面白いのは、本編ではヅダはもともとザクIより性能面で優位に描かれているのですが…キットのクオリティもまた、ザクIよりヅダのほうが若干上だという点です。もちろんHGUC ザクIもクオリティはかなり高いのですが、ヅダのクオリティは明らかにザクIよりも完璧に近いです。

MS IGLOOに登場する戦艦やこうしたオリジナル機体まで新たにリリースされている状況ですから…イグルーに登場するさまざまな機体が追加でリリースされる可能性は高そうです。HGUC ボールや後期型ジムとか…どうせHGUC ヅダが登場した2006年6月の時点でも、MS IGLOOアニメシリーズは続々と続編が制作されている状況ですから、何かしら出てくるんじゃないでしょうか?

参考リンク > MS IGLOOに登場する機体たち: http://www.msigloo.net/ms/index.html

特にヒルドルブは何のグレードでもいいから絶対に出してくれよバンダイさん!-_-+

* オマージュ :フランス語で「敬意」「尊敬」「崇拝」を意味する言葉。映画界では一般的に、後輩の映画人が先輩映画人の業績と技術的才能に敬意を表しながら、主要なトレードマーク的シーンを模倣する行為を指す。

HGUC 1/144 ヅダ | 2006.6 | ¥1,600

AIこのページは Claude Sonnet が翻訳しました。