Kit Review
素組み
+ スミ入れ + デカール
素組み
+ スミ入れ + デカール
● MG ジ・Oをめぐる
噂。
ついに、体格最強MSの象徴のひとつだったジ・OがMGでも
発売される時代になりました。アイテムが枯渇してきたから出てきたのかもしれませんが、
長年オールドファンがMG化を望んでいた機体のひとつでもありましたね。それはおそらく、
最新技術で精巧に作り上げられる巨大MSのロマンが実現されることを
期待していたからでしょう。ここ数年で急速に進歩した設計技術のおかげで、
次々と名キットを生み出してきたバンダイでしたからね!
ところが、このキットの発売前から流れていた噂がありまして、
MG ジ・Oが2005年のMk-II 2.0発売時期ごろ、つまりゼータの劇場版が始まった頃に
ゼータシリーズ機体のリニューアルとともに企画・開発されたというものでした。
当時はバンダイが本格的にゼータブームを起こそうとしていた時期でしたから、
それなりに説得力のある噂でした。その後、価格の問題やさまざまな事情で保留になり、
5年が経った2010年に発売されたという話です。
結局、2010年8月に発売されたMG ジ・Oを開けてみると…あの
噂は本当だったのかもしれない、という思いが強くなっています。-_-;
まず、発売前の価格予告で12000円というMG史上
最高価格を更新したことに対して、多くの不安と期待がありました。かなり高いけれど
何かすごいものを出そうとしているのかな、という期待感を持たせるには十分な
価格でした。ガンプラの技術は進歩しているし、ジ・Oほどの体格であれば
凝った内部フレームのディテールや多彩で細かいギミックを
十分に詰め込んでも余りあるサイズですからね。とにかく12000円というPG級の価格には
明らかに理由があるように思えました。
ところが、そうした価格への期待感を前提にこの
キットを見ると、かなりがっかりするキットかもしれません。個人的には
もともとあまり大きな期待はしていなかったキットですが、それでも最新キットらしく
最低限のことはやってくれるだろうとは思っていました。しかし、実際に作ってみると
自分が思っていた最低限にも届いていない気がして、戸惑いを覚えたキットでした。
「え?これ本当に2010年の新作なの???」
● 物足りないディテール、
寂しいギミック
まずこのキットは、最近のMGで見られるような「精巧さ」とは
かなり縁遠いキットです。全身に内部フレームが再現されているものの、
フレームのディテールはほぼレンガのようにのっぺりしていて、しかも十分に格好いいフレームを
仕込めるはずの、マウスほどもある巨大な足裏は完全にがらんどうです。
外装のディテールも極限までシンプルにまとめられており、事実上
HGUCの拡大コピーと言い張っても反論できないレベルです。もちろんMGらしく
それなりの量のデカールとシールを貼る箇所がありますが、面積があまりにも広いので
貼るのにかけた時間ほどの効果が出ない気がします。スミ入れをしっかり入れても、
パネルラインがちょうどHGUCレベルなので、それほど映えるわけでもありません。
こうしたシンプルなディテールはもちろん意図的な部分もあるかもしれませんが、
内部ものっぺりしているのに外見までのっぺりしているとなると、マイナスのシナジー
効果が生まれてしまう感じですね。正直なところ、あまり手をかけていないという印象の
ほうが強く残ります…
もし内部ギミックを複雑に詰め込んでいたら、ただでさえ重い
このキットがさらに重くなって、耐久性に問題が出ていたかもしれません。そういう意味では
特別なギミックのないシンプルな構造はある程度納得できますが、だからといって
内外ともにここまでシンプルにする必要があったのか、という疑問は残ります。(価格が!!
価格が!!)
せめて太ももに小さなスライドギミックを入れてくれた点は
評価できますが、巨大なスカートに隠れてほとんど見えないというのも残念…T_T
● 保持力の問題。
大きくて重いキットだけに関節強度が重要なのですが、
全体的なポリキャップはかなりタイトで、まずまず満足できると言えます。
ただ、最も重要な股関節部分にボールジョイントが使われているのを見て
驚きました;ボールジョイントは重量のあるキットに使うと保持力が非常に
不安定な構造なので、最近のMG シナンジュのような大型MGはもちろん、ザク/ファースト
2.0系でもすべて固定ピン方式に進化していたんですよね。
それなのに、これほど重い脚を支えるキットにボールジョイントを使うとは…T_T
経験上、ボールジョイントは重量負荷が大きいと繰り返しの可動によって
急速にゆるんでくる傾向があり、スタンドで浮かせた際に脚を開いて保持するのが
難しいという問題があります。案の定、MG ジ・Oはスタンドに乗せると気をつけの姿勢以外の
ポーズが難しいです。苦労して脚を開いたポーズを決めても、ちょっとタバコを吸いに
行って戻ってくると、おとなしく脚を揃えて主人を待っています…
もちろんジ・Oという機体自体、ダイナミックさよりも存在感で魅せるタイプとはいえ、
わざわざMG サザビーで使っていたボールジョイントを採用する必要があったのかは
かなり疑問です。時代に逆行している感じとでも言いましょうか。
決定的なのは、上半身だけ持ってキットを動かそうとすると、股関節の
ボールジョイントが脚の重さを支えきれず、脚が床にドスン(本当に重くてドスンと音がします)と
落ちやすいことです。自分も何度か落としましたが、不幸中の幸いか耐久性は高くて
少し分解するだけで破損はしないんですよね。キットを移動させる際は必ず丁重に
両手で持ってください ^_^)r;;
また、大型キットの場合は大きな武装のせいで握力の問題が出やすいのですが、
MG ジ・Oの手のひらの突起と武装の固定部の噛み合わせは
ほぼゼロに近い状態です…保持力が全くなく、ただ位置を合わせるだけ、という感じ?
面白いのは、握力とは関係なくライフルのストック部分を前腕に引っかけることができるので、
意外としっかり固定できています。最初からそのつもりで握力を気にしなかったのかどうかは
わかりませんが、とにかくあまり考えた形跡は見当たりませんね。なんとなく棚からぼたもち的な
感じ?
また付随して、胸の上部両側に固定する小さな装甲パーツ2つが
固定がやや甘くてポロリしやすい傾向がありますが、
まあこの問題は比較的些細なことと言えるでしょう。
● ちっぽけなビームサーベル
これを別タイトルで取り上げるのか、と思われるかもしれませんが…このキットの
発売に対する姿勢(?)が垣間見える部分なんですよね。ビームサーベルのところです。
ジ・Oは
設定上サブアームも使って合計4本の腕を使えるため、
ビームサーベルも両サイドスカートに2本ずつ計4本を持つ機体です。それに
合わせてビームパーツは当然4つあるべきで、HGUC ジ・Oも4つのビームサーベル
ビームパーツが付属して四刀流アクションが可能です。
ところが…MG ジ・Oにはビームパーツがたったの2つ、しかもごく
ノーマルな、どのキットにでも入っているような小さいサイズのビームサーベル2本だけです。せめて
HGUC ジ・Oには剣の形状で別途デザインされたスケールに合った大きめのビームパーツが
4つ入っているのに、MG ジ・Oには個性のない小さなビームサーベルが2本ぽつんと入っているだけとは…
(プルプル)
正直言って、手を抜いているという印象を拭えないポイントです。
以前なら、こういう場合は他のキットの余りビームパーツを持ってきてでも四刀流の
レビュー写真を撮ったりしていましたが、この呆れた貧相な構成を見ていたら
それすらやる気が失せてしまいました…;;;
これがこのキットの限界だということを、そのまま見せるのが正直なところでしょう。
大したことじゃないんですが、正直ちょっと驚きました。最高額のMGでこんなにお粗末な構成とは?
バンダイさん…これは本当にないよ~ T_T
● 欠点ばかりではない!
個性あふれる機体、最高価格のMG、2010年の最新作というタイトルに比べて、第一印象は正直不満が出る要素が多いキットですが、冷静に見ればそこまで悪いキットとも言えません。
まず、やはり1/100 ジ・Oならではの存在感は確かに素晴らしいです。MGにしてはディテールが物足りないという点には目をつぶる必要がありますが、大型キットが好きな方なら当然満足できる体格と言えるでしょう。設定と比べて脚が長くなったという不満もありますが、プロポーションもスマートでスッキリ仕上がっているという点には同意します。
股関節と握力の問題を指摘しましたが、なんか気を遣っていない感じがして不満なだけで、全体的な関節強度はかなりまずまずです。少なくとも床に普通に自立させるぶんには大きな問題はありません。ボールジョイントの股関節が不安定で、時間が経つにつれ重い上半身が後ろに傾く可能性はありますが、幸いにも巨大なリアスカートが後ろ脚を支えとして踏ん張ってくれるので、大きな問題にはならなさそうです。
可動域もボディサイズに対して十分よく設計されており、デザイン上折りたためる範囲はしっかり折りたためますし、ほとんどの関節強度もしっかりしているのでアクションポーズもそれほど難しくなく決まります。ただ、スタンドの上で脚を大きく開いたりするポーズの長期的な保持力はあまり良くないですね。それでも、あの太めのボディにしては十分ダイナミックだと言えると思います。
実際に組み立てるパーツ数が400個を超えないため、最近のMGと比べるとパーツ数はむしろ少ない方です。つまり、パーツの数よりもパーツ自体のサイズが大きめなキットで、大きなパーツをサクサクはめ込みながら楽に完成していく独特の手応えがあるので、組み立ての楽しさはかなり良い方だと思います。ただ、価格とサイズを考えると少し拍子抜けな感じがしてしまうのが問題ですね。
● ちょうど5年前のクオリティ+高すぎる価格
全体的に組み立ててレビューした後の感想は、まるで2005年当時に設計されたキットのような印象だということです。MG アッガイが登場してMGの急速な進化がちょうど始まった頃なら、このクオリティのキットでもそれほど違和感はなかったと思います。(もちろん価格の問題はあったでしょうが…)
ただ、2007年にザク2.0から採用された本格的な二重可動の手が同様に採用されている点を見ると、単純に2005年に設計したキットをそのまま出してきたわけではなさそうです。ある程度の修正があったのかもしれませんし、なりなりの誠意の表れだったのかもしれません。重要なのは、本当に2005年に設計したキットを今さら出してきたのか!という問題ではありません。理由はどうあれ、キットのクオリティがちょうど2005年発売のキットレベルだということが重要なんです…
MG ジ・Oは開発者の魂のようなものが感じられるタイプのキットでは決してなく、むしろ全体的な製造コストのせいか、あまり大きな手間をかけずに設計したという印象が強いです。(雑に作ったと言うのは開発者の努力をあまりにも貶めすぎる気がして…)なんというか…MGでもジ・Oを出しますよ、というオールドファンへのスペシャルサービス?
価格はPG並みとはいえ、あの巨大なボディにPG級のギミックやディテールを求めるのはあまりにもマニアックなアイテムだったのか?という気もしてきます。12000円のPGと比べると金型の差がかなり際立ちますが、それだけMG ジ・Oがたくさん売れるという自信まではなかったようです。
結論として、このキットは決して品質が悪いとは言えないキットです。体格は良く、可動域も十分で、組み立ての手応えもかなり良いですから。問題は2010年の新作とは思えない ちぐはぐなクオリティと、 高すぎる価格なんです。単純に期待ほどではなかったというレベルの問題ではなく、なんかタイミングがちぐはぐで戸惑ってしまうキットなんですよね。
特に12000円という価格は、どう考えてもクオリティに対して素直に受け入れがたい価格です。価格が安ければ長所が際立ったかもしれませんし、市場でそれなりに人気が出たかもしれませんが、MG ジ・O、いや1/100 ジ・Oの発売を熱望していた方でなければ、絶対に気軽にはお勧めしにくい価格になってしまいましたね。
「どうせ買う人は買うだろう」というマインドで発売したとは思いたくないですが…それでもやはり内容に対して価格が重いというのは誰も否定しにくいでしょう。確かにある面ではなりなりクオリティが高いキットなのに、どれだけ点数を付けようとしても価格を考えると厳しく評価してしまい、そうなると減点要素が多くて高い総合点が出にくい、そんなキットです。個人的には8000円までだったなら、少なくともMG サザビーよりは良い点数が付いていただろうという惜しさが残ります。:-)
| MG PMX-003 The-O | ||
|---|---|---|
| 分野 | 評点 | 分析 |
| 合わせ目 | ★★★★★ | ライフルの処理が少し独特ですが、基本的には目立たない。 |
| 成形色/色分け | ★★★★☆ | ボディサイズに対して、バーニアのより精密な色分けが惜しい。 |
| プロポーション | ★★★★★ | 少しスラっとしましたが、スマートなフォルムと圧倒的な存在感。 |
| 可動域 | ★★★★ | あのサイズにしてはよくやっている。 |
| 関節強度 | ★★★★ | 不安定な股関節。頼りない握力が惜しい。 |
| 内部フレーム | ★★★★☆ | 全身フレームながら、大きな足部分が省かれているのが少し惜しい。 |
| ディテール | ★★★★ | サイズに対してディテールはシンプルそのもの。期待しないこと。 |
| 武装/付属 | ★★★★ | シンプルなビーム・ライフル。小さいビームサーベル、しかも2本だけ T_T |
| パーツ数/価格 | ★★ | 合計485個。実質393個。1000円あたりのパーツ数32.8。価格対比では最低。 |
| 独自性/特異性 | ★★★★★ | 1/100 ジ・Oが勇敢にも発売されたという点が唯一の価値。 |
| Dalong's Point : 84 pts. | ||
※ 賛否が分かれるかもしれないスコアですが、価格対比のおすすめ度がかなり低いキットとご理解いただければと思います ;
MG 1/100 PMX-003 ジ・O | 2010. 8 | ¥12,800
AIこのページは Claude Sonnet が翻訳しました。